気になるだろう、説明せねばなるまい!!

カノンシルバーこと相沢祐一は、ナイスガイである。

顔は見せられないが、容姿端麗。

授業中の全てを寝ても、秀才なので大丈夫。

朝一で走ったり、魔物と戦ったり、体当たりを避けたり、常人なら間違いなく過労死する生活も、小粋なジョークでクールに乗りきる。

まさに現在に生きるアントニオ猪木である!(※死んでません)

相沢祐一最高!!

 

「誰が説明してたか分かったわ・・・」

スーパーサブ戦隊ー!!〜決闘編

 

「相沢が説明してたのか」

「ばれた?」

ナレーションは私市淳でお送りしていた所で気付くべきだった・・・。

「じゃぁ、あのへんてこな説明も祐一さんなんですね!!」

と、ここで食って掛かったのがアイス。

「まこぴーの飼い方ってなによぅ!?」

あ、天野後輩、開放したんだな、あう〜。

「ボク、メガンテなんてしないもん!!」

結局そこにつっこむことにしたのか。

「俺はいっつもお前が自爆するものと考えて戦ってる」

「うぐぅ、戦ってないもん」

こんな時でも、よくボケるよな。 さすが俺のライバルだ。

「・・・祐一、覚悟」

舞将軍が、剣を構えた。が、その剣を、黒い皮手袋がつかむ。

「祐一さんは、私達の大切なリーダーです。 手出しはさせませんよ」

今回は出番と口数が少なめの秋子さん。

他のメンバーも相沢をかばうように立つ。

やっぱり、リーダーが交代してる。 俺は死んでないぞ。

「・・・・そういえば」

一触即発の雰囲気の中、俺はあることに気がついた。

「俺達って、脇役・・・じゃないや、スーパーサブ戦隊だろ」

「ええ、それがメインを張るのが今回のお話ですね」

「相沢も、今日から脇役?」

「・・・」

場が、一瞬凍りついた。

「いいえ」

秋子さんが、否定の言葉を言う。

「これから私達は主役戦隊です」

逆転の発想!?

「つまり、私達がヒロイン?」

「いいですね」

「じゃ、俺も主人公!?」

「北川さんはにましたしね〜」

ひでぇ、既に異界の住人扱いされてる・・・。

「うぐぅ〜、そんなのダメだよ〜!!」

「そうよぅ!!」

「そんなこと言うサブキャラ、嫌いです」

「はちみつくまさん」

それには、現ヒロイン陣も抗議の声をあげる。

「祐一さん、別に異存ありませんね」

「祐一さ〜ん、佐祐理を選んでくれますよね」

「相沢さん」

「あ、相沢君、その、どうするの?」

「え、えう、えう、えう・・・」

あ、修羅場だ。 もうなんかお約束なのがむかつく。

「・・・えっと、その・・・どうする、俺?
 

なんか、ぶつぶつ言い出した。 アレの前兆だ。

「考えてみれば、あう〜やらうぐぅやら栞やらの貧弱トリオより、こっちの方が数倍おいしいかも・・・。 しかし、いいのか、主役のプライドは?まぁ、今回はアンテナの奴が生意気にも主役やってるみたいだし、別にいいかなぁ〜。確かに貧弱さで言えば、天野も同等・・・」

声に出てるぞ、思いっきり声に出てる。 物凄い危ない奴だ。

しかも、かなり失礼だな。

「秋子さんフラグが立っちゃうのか? 美坂フラグ? もしかしたら、姉妹同時とか・・・」

いや、分かるぞ、お前が夢想することは俺も思った。

が、今のお前は危険だ。

「誰が貧弱ですか?」

天野のツッコミ。

「は、何故考えていることが!!?」

ここまでやられると、逆に清々しいだろ。

「・・・あの〜、俺考えてることしゃべってたりしました?」

「ええ、それはもうはっきりと、フラグとかまで言ってましたし」

「げ・・・」

これで気付かないんだから、立派に病気だな。

「はっはっは〜まいったな〜。 ・・・ちっ! そこまでしゃべってしまうとは!」

なんだ、前と後ろのテンションが違う。 そうか、前のが建前で、後ろは本音か。

「いや〜、まいったまいった。 ・・・なんとか両方取る方法がないものか・・・」

あまりの錯乱に、思考がだだ漏れになってしまってるんだな。 しかも、都合のいいこと考えてやがるし。 

「まいったよお兄さん! ・・・マジでどうするんだよ俺。 大体禍怨のアイザワー皇帝って言う設定はどうするんだ?」

「何ィ!?」

つぶやきの中で、相沢が衝撃発言をした! が、みんなは気付いた様子がない。 聞き逃したか?

「何を今更驚いてるの?」

「みんな、アイザワーが相沢だって知ってたのか!?」

「げ、なんでばれたんだ・・・」

「ですから、声に出てます」

「あはは〜、マジですよ」

天野が説明し、佐祐理さんが聞かれる前に答える。 律儀だな、二人とも。

「て、いうか気付かない方がどうかしてるわよ」

「バレてしまってはしょうがない! その通り、我こそが禍怨帝国の王、アイザワー=ユーイチ皇帝だ!!」

あ、フォント色が変わった。

「な、何てことだ。 うちの戦隊に裏切り者がいただなんて・・・」

「いや、おもしろいかな〜、と思って入ってみたら、案外この役が楽しくてな」

「完全にお遊びですね」

「僕を裏切ったな、カヲルくん!!

「は! いくらお前がその声でシンジをやろうとしても、ジャージ大阪人の顔しか浮かばんわ!!」

「声優つながり・・・」

「くっそう!! 説明のいるツッコミしやがって!」

俺の体は怒りに打ち震えた。 体から赤いオーラとか、煙とか、スタンドとか、魂とかが出てきそうだ。

「よし、こうなったらみんなで奴を倒すんだ! 佐祐理さん、秋子さん、天野後輩、そしてマイラバー・・・!!」

ばき、ぐしゃ!!

「あべし!!」

「最初と同じツッコミをさせないで」

「・・・最初は、こんな大っぴらに殴らなかったぞ」

1話を思い出せば、俺の不幸加速度がどれだけすごいか伝わると思う。

「懲りませんね♪」

何故かうれしそうなアイスの発言。

「おお、義妹よ」

「・・・お姉ちゃんと仲良くするのは全面的に応援しますけど、そんな呼び方をする人はさぶいぼが出るほど嫌いです」

そんな格好してるから。 うぐぅを見習ってアイスカップの着ぐるみを着れば良いのに。

「ともかく、美坂も協力してやつを倒すんだ!」

「・・・相沢君を殴らないと話が終わらないのね」

そう言って、美坂はメリケンを構える。

「まぁ、しょうがないですよね〜」

同じくロッドを構える佐祐理さん。

「祐一さん、すぐ済みますからね」

「少し我慢してください」

秋子さんが猟銃、天野が・・チェーンソー!?

・・・どこに隠し持ってたんだ?

「ちょ、ちょっと待て! お前ら俺と北川を混同してるだろ!!」

相沢、じゃ無かった、アイザワーが慌てふためく。

「俺は人間だ、死ぬ! 細胞さえあれば増殖できる生物とは違うんだ!! て、いうか、謎ジャムライフルは本当に勘弁してください!!」

チェーンソーより、あっちのオレンジ色のゲルを出す銃を恐れるんだな。

「失敬な、まるで俺が未知の生命体みたいじゃないか」

「否定する材料がまったく無いと思われるんですが」

「俺、ご飯大好き!!」

「そう言う発言が既に人外よね」

俺の人間としての証明を、美坂が冷静に斬った。

「くそぅ! 死んでたまるか!! 出でよ、戦闘員!!

手持ちの戦力では、(二名懐柔済み、一名精神的ストレスのため、笑えない子に)不利だと察したアイザワーの号令で、ジャリンコ広場を包囲するように戦闘員が沸いてきた。

「ふ、この戦闘員斎藤コピーは、今までの久瀬コピーとは微妙に強さが違うぞ!!」

「あれ、久瀬だったのか!?」

「ふえ〜、道理でりごこちが良いと思いました〜」

そんな無邪気な驚き方で、グロいことをいわんでください。

戦闘員(斎藤)と、うぐぅ、アイスが戦闘態勢に入り、うちのメンバーと、舞将軍が迎え撃つ。 あう〜と天野後輩は観戦組だ。

都合、余ったのは俺とアイザワーだけになった。

「アイザワー! お前が改造してくれたおかげで、俺はお前を倒すことが出きる、感謝するぜ!!」

「ふ、あのまま大人しくしていれば、お前も戦闘員としてコピーしてやったと言うのに」

アイザワーのセリフを聞いて、俺とアイザワーを除いた場の全員が申し合わせたように顔をしかめた。

「北川くんが、うじゃうじゃ・・」

アンテナが10000本たつんだぞ、ビジュアル的に楽しそうだろ」

「まったく笑えませんね」

アイザワーの言葉を、天野が一蹴する。 同じモノを想像した俺は、陶酔感さえ覚えると言うのに・・・。

「いいなぁ、それも」

「いいだろ?」

「迷惑よ」

たくさん並ぶ俺の顔を想像して、やっぱり改造し直してもらおうかと思った俺だが、そこで拳を握り締める。

「だが・・・」

「どうした、北川?」

俺はアイザワーの顔面を殴った、力の限り!!

「ぐわふ!!」

「・・・すまんな転校生、ワシはお前を殴らなあかん」

今度はちゃんと関西弁、しかし、俺はやつが憎くて殴ったわけではないのだ。

確かに、主役だからって必要以上にもてやがってとか、今回は脇役のくせにまたでしゃばりやがってとか言う思いはある!!

が、今回俺は、この話にオチをつけたいが為に殴ったのだ。

これでアイザワーが「殴ったな、親父にもぶたれたこと無いのに!!」と返せば、ミッション終了。

今までのことも水に流せる言うものだ。

しかし、そこで俺は気付いた。

場の静けさに・・・。

そして、自分を取り巻く異常な殺気に・・・。

もう、今すぐ泣き喚いて鼻からプリンを出しながら土下座をして許しを請いたくなるような空気に・・・。

「・・・みなさん、何で怒ってますんでしょうか?」

「祐一をいじめた」

「北川さん、やってはいけないことをしましたね」

「うぐぅ〜」

「あう〜」

「だ、だってストーリー上しょうがないだろ!!」

まぁ、こっちの怒りはまだ理解できる。 が・・・・。

ちゃき(聞き覚えのある、メリケンを構える音)

きゅいぃぃん(きっと、魔力をチャージする音)

ぶおんぶおんぶろろろろろろ(考えたくないが、チェーンソーが起動した音)

・・・・・・。 (無音だからこそ、余計怖い)

「み、みんな、アイザワーは今回敵じゃないのか!? つーか、みんなさっき殺そうとしただろ!!」

うちのメンバーも俺に殺気を向けるって、どういう事態だ?

「きー、きー、KEY−、きー!!」

さ、斎藤まで!? 斎藤、お前まさか相沢のことが・・・。

振り向けない、俺がアイザワーから視線を外せないのは、その他に視線を合わせられるものが無いからだ。

同じく俺を見たアイザワーは、事態を察し、慌てた。

「み、みんな、ほら、北川はちゃんと今回の話にオチをつけようと・・・」

必死で俺のフォローに入る。 ああ、お前すごい良いやつだったよ。

「黙ってて(ちょうだい、ください、くださいね、きー)」

「はい・・・」

最近おなじみ、黒フォント。 やっぱり、アイザワー、いや相沢じゃだめだったな。

「・・・北川、最後に言いたい事は?」

目に涙を浮かべながら、相沢は俺に聞いた。

ありがとう、友よ・・・。

「・・・ピータン大嫌い」

「最後までボケるとは、お前らしいよ」

どか、ばき、ずご、ぐしゃ、どし、どろ、だぐら、めきゃ、み〜んみ〜ん、きゅうい〜ん、すりすり、もきゃ、うさうさ、べきょら、ずきゅ〜〜〜ん・・・ぱき



泣きながらスマイルをした相沢の顔を最後に、俺の意識は途絶えていった・・・。

 

 

 

「多分、1日で再生するんでしょうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出番が無いお・・・」

終わり!!

 


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