混迷⇔エリスポットWMP


出演… 水都栄一(ミズトエイイチ) 高校2年生。 純正オタク。 エネルギーは無駄にあるが、全てにおいて熱しやすく冷めやすい。
  加藤清(カトウキヨシ) 高校2年生。 むっつりオタク。 家族の前ではアニメを見ないタイプ。
 

森屋京子(モリヤピピニーデンキョウコ

高校1年生。 腐女子。 基本的に確信犯。

       


第17公演

魔法少女


 

 

幕が上がる。

 

教室の風景。

 

二人の生徒が話をしている。

水都

リリカル・ラミカル・ルルルルル〜〜♪(水都、おもちゃのステッキを持ちつつクルクル回る)

加藤

はい!?

水都

加藤よ、リストラ2時間後の元中年管理職にな〜ぁれ♪

加藤

何、魔法の呪文のつもり!? っていうかなんだよ、その微妙に嫌な指令!

水都

…ノリが悪いな。 せめて急に禿げ上がるぐらいして見せろ。

加藤

無理だよ! つーか、リストラされたからって禿げてるって決め付けるな!

水都

じゃぁ、日本をしょって立つ男にな〜ぁれ♪

加藤

それ、魔法の呪文じゃなくて普通の文章じゃん!

水都

こんな汚れ役、最初は嫌だったんだけどね…。 まぁ、結局は慣れよ、な〜ぁれ♪

加藤

その暗い例題止めろよ! つーか、なぁれの意味が違う!!

水都

そんな訳で、魔法少女萌え。

加藤

今の流れじゃ、全然伝わらないよ!

水都

魔法少女! 夢と希望の僕らのヒロイン!!

加藤

そのまま進めるのかよ…。

水都

ステッキ、マスコット、少しどきどき変身シーン!!

加藤

はいはい。

水都

そして触手!

加藤

って、何でだよ!

水都

古来より、魔法少女と触手には密接な関わりが…。

加藤

ねぇよ!

水都

いや、今モニターの前で頷いてる奴が、3人はいるって!!

加藤

いねぇ!!

水都

しかし、現実に魔法少女を探すのは、難しそうだな。

加藤

いや、難しいも何も、現実にいないし。

水都

何を言う、現実にもちゃんと魔法少女はいるぞ!

加藤

どこにだよ?

水都

田中の姉ちゃんは、いつも部屋に閉じこもって、魔法陣とか怪しげな薬とか製作している。

加藤

それは魔女っ子じゃなくて、ただのオカルト好きだよ!

水都

まぁ、アレは確かに魔力を持たない人間だ。 だが、修行を積めばあるいは…。

加藤

元々の方向性が間違ってるだろ! っていうか、田中のお姉さんの話はもう良いよ! とっとと先を言え!

水都

そうだな。 本当の魔法少女は、もっと一般社会に溶け込んでいるのだ。 その姉のように浮いた存在では、決してない。

加藤

だから、田中のお姉さんのことは放って置いてやれよ!

水都

魔法少女は、我々の世界に密かに忍び寄り、平和な世界を魔の力によって脅かしているのだ!!

加藤

魔の力っていうなよ!魔法だろ、魔法! あれは定義上の名称で、別に悪い力じゃないの!

水都

まったく、この位の事で興奮するな。 これだからむっつりは…。

加藤

だから、むっつりって言うな!

水都

まぁ、確かに魔がついたからと言って、悪いものばかりとは限らないな。

加藤

そうだよ。

水都

悪魔超人だって、結構いい奴多いし、キス魔も可愛い女人なら、むしろ大歓迎だし!

加藤

まぁ、変な例えだけどね…。

水都

俺も使い魔に、シロとかクロとか欲しいよ! レンたんハァハァ!!
加藤 結局それかい!!

水都

まぁ、今は魔法少女の話だ。 レンたんハァハァは別の機会で話すとしよう。
加藤 出来れば、その機会が永遠に来ないことを祈るよ。

水都

思い返せば、彼女達は常に俺達と共に歩んできた。

加藤

まぁ、昔は普通にテレビで見てたから。

水都

数々の魔法少女達と、俺達は出会い、別れていく…。

加藤

あのシリーズは基本的に途切れなかったからね。

水都

そしてそれは、今も続いている…。

加藤

高校生になって、それはどうかと思うけど…。
水都 何を言う! 魔法少女を愛でるのに年など関係ない! 僕はピーターパンなんだよ!!

加藤

マイケルジャクソンかよ!?
水都 ネバーランドに連れて行って!!
加藤 うるさいわ!!
水都 まぁ、一般のオタクは、常に魔法少女を愛してきたわけではなかろう。

加藤

どういう事?

水都

お前にもあるはずだ…。 中学生くらいになると、周りが急にその手のものを見なくなり、自分も手を引いていった思い出が。

加藤

まぁ、その年頃になるとねぇ…。

水都

それを一般に、思春期ブランクと呼ぶ。

加藤

お前が勝手に名付けただけだろ!

水都

多くのものはそのまま離れていくだろう。 しかし、またここへ戻ってくる勇者もいる。

加藤

それって、勇者なの?
水都 ある者はふと回したチャンネルに、ある者は他人に引きずられ…。
加藤 ありがちだね…。
水都 またある者は、エロゲーに出てくる魔法少女に興奮し…。

加藤

って、そんな人間ごく少数だよ!!
水都 ある者は触手を求め。

加藤

もっといないって!!

水都

そしてまた、僕らは彼女達を見つめはじめる。

加藤

ああ、はいはい。
水都 前よりも、少し歪んだ目を持って。
加藤 いや、まぁ、純粋な目で見てるって言うのもなんだけどさぁ…。

水都

ああ、憧れの魔法少女よ!!
森屋 呼びました? (森屋、魔法少女の格好で登場)

水都

モドキなど呼んでいない。

加藤

って言うか、どっから持ってきたの、その衣装?

森屋

校長室で拾ってきました。

加藤

何でそんなもの落ちてるのさ!
水都 聞くな。 奴もまたピーターパンなのさ。
加藤 うちの学校って、どうなってるの…。
森屋 あと、他にも持ってきましたよ!
加藤 えっと、あからさまに嫌な予感がする…。
森屋 魔法少女といえばこれ!
加藤 と、いうと?
森屋 触手です!!
加藤 だから、それはもう良いって!!
水都 うむ、よく分かっているな。
森屋 魔法少女といったら、勿論ですよ!!
加藤 俺なのか? おかしいのは俺なのか!?
水都 ホレホレ森屋。 焦らさないではよう見せんかい。
加藤 何でそんなうずうずしてるんだよ…。
森屋 フッフッフッフッフ…、ジャーーーーーーーーン!!(森屋、手に持った白くぷにぷにしたものを掲げる)
加藤 って、これ、クラゲ?
森屋 ええ、ほら見てください。立派な触手でしょう!?(森屋、クラゲの足を広げる。
加藤 いや、そんな誇らしげにされても…。
水都 森屋…。
森屋 なんですか?
水都 俺達の純情を返せ! こんなの、こんなの真の触手じゃねぇ!
加藤 達って言うな!
森屋 ちょっと小さいからって何ですか! 5センチあればコトには及べるんですよ!!
加藤 何の話だ!
森屋 マスコットにも使えますしね。
水都 なるほど。
加藤 って、納得すんな! いらないよ、そんなマスコット!
森屋 魔法少女って、奥が深いんですねぇ。
加藤

さっきから触手のことばっかりで、全然魔法少女の話してないよ!!

水都 言うな、加藤。 誰も皆、子供のままではいられないのだ。
加藤 いや、大人になることと触手って、まったく関係ないと思うけど…。
森屋 悲しいですね、人間という生き物は。
加藤 森屋さんも、何悟ったようなこと言ってるの!?
水都 でも、大人になった僕らの心にも、魔法少女達は生き続けている!!
加藤 それっぽいこと言って、終わらそうとするな!
水都 よっしゃ、魔法少女アイやろ!!
加藤 エロゲーかよ! もういいわ!!

舞台暗転

  幕が降りる。

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