混迷⇔エリスポットWMP
出演… | 水都栄一(ミズトエイイチ) | 高校2年生。 純正オタク。 エネルギーは無駄にあるが、全てにおいて熱しやすく冷めやすい。 |
加藤清(カトウキヨシ) | 高校2年生。 むっつりオタク。 家族の前ではアニメを見ないタイプ。 | |
森屋京子(モリヤピピニーデンキョウコ |
高校1年生。 腐女子。 基本的に確信犯。 |
第16公演
幕が上がる。 |
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教室の風景。 |
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二人の生徒が話をしている。 |
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水都 |
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加藤 |
なんだよ、その始まり方!! |
水都 |
今、巷ではこのパンツと言うものが、大流行しているのだ! |
加藤 |
いや、と言うものとか言われてもさぁ…。 っていうかこれ、ただのエロネタじゃん。 |
水都 |
何を言うか! パンツこそはズバリ萌え! パンツこそ清純の証しなのだぞ! |
加藤 |
とりあえず、その単語を連呼するの止めようよ…。 |
水都 |
と、まぁ、そんなことを言うようなむっつりオタクにこそ、これはピッタリなモノなのだ。 |
加藤 |
だから、むっつりって言うな! |
水都 |
最近のアニメを眺めてみろ! どこも彼処もパンツパンツパンツパンツですよ!! |
加藤 |
まぁ、それはそうだけど…。 |
水都 |
最近じゃ、ワカメちゃんまでパンチラをする始末だ。 |
加藤 |
それは昔からだよ! |
水都 |
だが、アレは間違った風潮なのだ!! |
加藤 | って、また批判から入るのかよ。 |
水都 |
全ての物事は批判されてこそ高みに昇るのだ! 俺は何も、パンツが憎くて言っているのではない! |
加藤 |
はぁ…。 |
水都 |
パンツに罪はない! あの白さがその証明だ!! |
加藤 |
意味分からないこと言うな! |
水都 | まぁ、そうだな。 アレが白いモノだと決め付けるのは良くない。 しましまとかあるしな、しましまとか!! |
加藤 |
そんなことが言いたいんじゃないよ!! いいから、本題に戻れ! |
水都 | ふっ、何だかんだいって、俺の話が聞きたいのか。 ムッツリめ。 |
加藤 | …違うけど、まぁ良いよ、それで…。 |
水都 | ふむ、パンツの真骨頂とは、何か分かるか? |
加藤 |
いや、真面目に考察したこともない。 これからも一生無い。 |
水都 |
それはズバリ、チラリズムだ!! |
加藤 |
…意外と、普通のこと言うね。 |
水都 |
真理とは、常に単純に見えるが、実は奥深いモノなのさ。 |
加藤 |
そのセリフはよく分からないけど。 |
水都 |
パンツとは、本来その奥のものを隠す為の物だ。 |
加藤 |
なんか露骨な表現だけど…そうだね。 |
水都 | が、その本来は隠す為に使うパンツをも、女性達は隠そうとする。 |
加藤 | それは、まぁ…。 |
水都 | 隠す為のものまで、隠そうとする乙女心が生むパラドクス! それはつまり、何重にも隠された気持ちを持つ、乙女という生き物の象徴! 俺達はそこに萌えを感ずるのだ!! |
加藤 |
絶対考えすぎだよ、それ!! |
水都 |
それがどうだ、最近は。 その初心を忘れたオタク達は、そういう禁断の聖地に踏み込むという背徳感を忘れ、ただいたずらにそれを貪るばかり。 |
加藤 |
いや、そんないやな初心、元々無いと思う。 |
水都 | ただ、パンツを見せておけば良いという心構えの製作者!
とりあえず、エビはぷりぷりと言っておけば良いと思っているレポーターのようだ! |
加藤 | 分かりにくいよ、その例え! |
水都 | エビだって色々評価があるんだぞ…。 グズグズ感がたまらないとか。 |
加藤 |
そっちの話するのかよ! っていうか、間違ってるし!! |
水都 |
パンツは、時々見えるぐらいの方が良いのだ。 亭主元気で留守が良い。 |
加藤 | そのことわざ、使うところ間違ってるよ!! |
水都 |
隠して隠して、ふとした瞬間に覗けてしまう乙女の奥底! それこそが真のパンツだ!! |
加藤 |
…よくそう言う恥ずかしいことを、大声で言えるよなぁ。 |
水都 |
それをペラペラペラペラペラペラめくるなど、言語道断!! むしろ、めくれていたら直してあげるぐらいの、紳士精神を持て! |
加藤 |
動機が不純じゃなければ、良いこと言ってるんだろうけど…。 |
水都 |
パンツはチラリズム! デビルイヤーは地獄耳! びばっ! パンチラ!! |
加藤 |
今、途中に関係無いの入ってなかった!? |
4クールやって、ラストシーンで一秒だけパンツが見えるアニメがあったら、感動するだろ!! | |
加藤 |
しないよ! どんなオチだよ、それ!! |
水都 |
しかし、最近は女子達の意識も低くなっているからな。 そういった感動には、まず出会えない。 |
加藤 |
警戒心が足りないってこと? |
水都 |
ああ、または隠す気が無かったりな。 見ると、脅されて金を取られたりするが。 |
加藤 |
怖っ!! |
水都 |
だが、それだけではない。 |
加藤 | と、言うと? |
水都 |
例えば、見せパンだな。 見せても良いパンツと言われると、どんな形状でも萎える。 それから…。 |
森屋 | こんにちはー、今日もご奉仕するやねんでー。 森屋サバイブでーす(森屋登場)。 |
水都 |
こういうやつだ(森屋を指差しつつ)。 |
加藤 |
…ジャージ? |
水都 |
そう、スカートの下にジャージを着ればもう安心! 覗かれないし、冬には暖かでお得なこの装備!! |
加藤 |
いや、誉めてるのかよ。 |
森屋 | って、挨拶に関しては突っ込み無しですか? |
水都 | だがしかし、それは間違っている! 覗かれるかもしれないという緊張感が無い、安寧とした状況では、ドキドキ☆スクールライフなど送れる筈が無かろう! |
加藤 | 要らないよ、そんな緊張感!! |
水都 | パンツが見えるか見えないかの、股下数センチの駆け引き! これがラブコメの全てだ! |
加藤 | 何で、それだけで構成されてるんだよ!! |
森屋 | 生足は寒いんですよ。 この下もハーフパンツですしねぇ。 |
加藤 | …なんか、完璧な防寒だね。 |
森屋 | 夏になるまで待ってください。 バックプリントでもイチゴ柄でも、リクエストに答えますよ。 |
加藤 | そ、そんなサービス要らないって!! |
森屋 | お金は取りますけどね。 |
加藤 | それ、さっきこいつが言った! |
森屋 | ちっ、ネタが被りましたか。 |
水都 | そうか、ネタが被ったか。 |
森屋 | 一生の不覚です…。 |
加藤 | 別に、気にしないでいいと思うけど。 |
森屋 | そういう訳にはいきません! 芸人としての沽券に関わります! |
加藤 | はぁ…。 |
水都 | ……。 |
加藤 | …なんだよ。 |
水都 | パンツは被っても、ネタは被らないようにね♪ |
加藤 | なんだそのオチ!! |
舞台暗転。 | |
森屋 | 今の話、私いりました? |
加藤 | さぁ? |
幕が降りる。 |