混迷⇔エリスポットWMP
出演… | 水都栄一(ミズトエイイチ) | 高校2年生。 純正オタク。 エネルギーは無駄にあるが、全てにおいて熱しやすく冷めやすい。 |
加藤清(カトウキヨシ) | 高校2年生。 むっつりオタク。 家族の前ではアニメを見ないタイプ。 | |
森屋京子(モリヤピピニーデンキョウコ |
高校1年生。 腐女子。 基本的に確信犯。 |
第15公演
幕が上がる。 |
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教室の風景。 |
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二人の生徒が話をしている。 |
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水都 |
中華ニコニコアルヨ。 |
加藤 |
何語だよ、それ。 |
水都 |
中国語。 |
加藤 |
堂々と嘘つくな! |
水都 |
何言ってるアルか。 中華人民、皆こうしてしゃべるヨ! |
加藤 |
古すぎるよ! その思い込み! |
水都 |
まぁ、最近はこうやって話す中国人も少なくなったな。 |
加藤 |
いや、だから…。 |
水都 |
纏足と同じようなものだな。 …これも時代の流れか。 |
加藤 |
だから、元々いないって、そんな中国人!! |
水都 |
うるさい! 一流の中国娘たるもの、アルよでチャイナドレスは必須なのだ! |
加藤 |
また、ベタな…。 |
水都 |
ふっ、ベタこそ王道。 中国的にワンドーアルよ! |
加藤 | 適当な言葉使うな! |
水都 |
そんなわけで、今日はるばる中国から、娘々連れてきたアルよ! |
加藤 |
って、また新キャラ!? |
水都 |
入ってくるヨロシ! |
中国娘? |
どもー、中国からやってきた、ミスMアルよー! |
加藤 |
…森屋さんじゃん。 |
森屋 | 何言ってるアルか! ほら、チャイナドレスもちゃんと着てるアルよ! |
水都 | 絵が無いから、誰にも伝わらないけどな。 |
森屋 |
うっ、それじゃぁ、こんな事をしてもダメアルか…?(チャイナドレスのスリットをまくる) |
水都 |
まったくサービスにならんな。 |
森屋 |
ぐっ、作戦ミスでした! 私の完璧な中華っぽさが伝わらないとは! |
加藤 |
いや、中華っぽさ以前に、森屋さん国籍が日本じゃん。 |
森屋 |
ぬぐっ! |
水都 |
形だけ取り繕って中国娘になろうとは、浅はか過ぎるな。 |
森屋 |
うわああああーーーーん!!(走り去る) |
水都 | 泣かせたな。 |
加藤 |
俺の所為!? |
水都 |
まぁ、お前が女泣かせだろうが、今は関係ない。 |
加藤 |
その言葉、意味が違うだろ。 |
水都 | あのアホの所為で、いまいち伝わらなかったが、本当の中国娘は、もっと萌えなのだ!! |
加藤 | お前が呼んだんだろ!! |
水都 | 異国に戸惑う彼女! 迫り来る組織の手! ハードボイルドの香り! そして、チャイナドレスのスリット、スリット、スリット!! |
加藤 |
結局それかよ! …まぁ、前半はお約束っぽいけど。 |
水都 |
追ってるのは、警察だけどな。 |
加藤 | って、何で!? |
水都 |
だって彼女、不法入国者だもん。 |
加藤 |
ダメだろ、普通に犯罪じゃん! |
水都 |
…まぁ、聞け。 不法入国にも、色々事情があるんだよ。 そんなこと言ってると、これを読んでる不法滞在者からクレームが来るぞ。 |
加藤 |
いや、読んでないと思うけど。 事情云々っていうのは正しいかもね。 |
水都 |
そうだ、例えば実家の家族が困窮してて…。 |
加藤 |
日本で働いて仕送りか。 |
水都 |
いや、その憂さ晴らしにテロ活動。 |
加藤 |
って、何してんの!? そんな事やってるんだったら、働けよ! |
水都 |
あー、やだやだ。 日本人はすぐ働け働け言うアルよ。 |
加藤 |
思い出したように、偽中国人キャラ使うな! |
水都 |
そして、そんな彼女を国家権力から守る為、匿う俺。 |
加藤 |
引き渡しちゃった方が、良い気がする…。 |
水都 |
偽装結婚という手もあるが、今回はパスだな。 |
加藤 | 彼女がテロリストだしね…。 |
水都 |
とりあえず、中華娘には目立たない場所に居てもらおう。 |
加藤 |
妥当な所だね。 |
水都 |
家の地下室に。 もちろん手錠と鎖つき。 |
加藤 |
って、それは監禁って言うんだよ! もちろんってなんだ!? |
水都 |
問題無いさ。監禁なんてどこの国でもやってるって。 |
加藤 |
危ない事言うなよ! |
水都 | 監禁に国境は無い! |
加藤 | なんの話をしてるんだ! |
水都 | そして、二人の愛にも国境は無いさ…。 |
加藤 | 何で、いきなり爽やかになるんだよ…。 |
森屋 | 感動しました! その言葉!! |
加藤 | うわ、いつの間に戻ってきたの!? |
森屋 | 私、間違ってました…。 確かに今までの私は、ただ形ばかりで、中国娘のソウルがこもっていませんでした。 |
水都 | うむ、俺もそれが伝えたかった。 |
加藤 | 絶対嘘だろ、それ。 |
森屋 | だから、私は本場で修業してこようと思います! 三都守みたいに、森屋=金=京子になります! |
水都 | うむ、50年ぐらい行ってこい。 |
森屋 | 密かに愛の無い言葉、ありがとうございます。 |
加藤 | 大げさにやり過ぎだと思うんだけど。 |
森屋 | 心配しないでください、ちゃんと働くアテもありますから。 |
加藤 | そういうことを心配してるんじゃ無くて…。 |
森屋 | シャチョサーーーン! ボトル入れますヨーー!! |
加藤 | どこで働く気だよ! |
水都 | うむ、最後の最後に、中国娘の極意をつかんだようだな。 |
加藤 | 絶対違うわ!! |
舞台暗転。 | |
幕が降りる。 |