出演… | 水都栄一(ミズトエイイチ) | 高校2年生。 純正オタク。 エネルギーは無駄にあるが、全てにおいて熱しやすく冷めやすい。 |
加藤清(カトウキヨシ) | 高校2年生。 むっつりオタク。 家族の前ではアニメを見ないタイプ。 |
幕が上がる。 | |
教室の風景。 | |
二人の生徒が掃除をしている。 | |
水都 |
結婚してぇ…。 |
加藤 |
高校生が言うことか? |
水都 |
新婚さんになりたいのだ! |
加藤 |
なんで? |
水都 |
なんたって、独身貴族時の一万倍は生活が甘くなる。 |
加藤 |
どういう比率だよ…。 |
水都 |
その甘さと言ったら凄いぞ、ガンプラのエッジの50倍甘い。 |
加藤 |
比べるものが間違ってるわ! |
水都 |
奥様がいれば、朝にアーンしてもらえる甘さや、ペアルックで街を闊歩できる甘さが味わえるのだ! |
加藤 |
恋人でも出来るじゃん。 |
水都 |
甘い! いや、むしろ甘くない! |
加藤 |
日本語がおかしいよ…。 |
水都 |
お前の考えが、甘いんだ! ラヴァーズがする「アーン」やペアルックは、言わば「新婚さんみたいでドキドキしちゃう(はぁと)」的モノなのだ! オリジナルには遠く及ばん! |
加藤 |
そうかぁ? |
水都 |
まぁ、甘酸っぱいほうが好きな方はそちらへどうぞ。 |
加藤 |
誰に薦めてるんだよ…。 |
水都 |
家事なんかでも、楽しみはいっぱいだ。 その最たるものが裸エプロンだな。 |
加藤 |
普通の夫婦はしないだろ。 |
水都 |
健全な家事の中のエロス、魅力ですなぁ。 |
加藤 |
はぁ、そうかい…。 |
水都 |
が、最近は男女平等だからな。 |
加藤 |
だから? |
水都 |
男もしなきゃ、裸エプロンで家事。 |
加藤 |
いやだよ! |
水都 |
前時代的な考えだな。 今時、家事ぐらい出来なきゃ、嫌われるぞ。 |
加藤 |
そっちじゃなくて、裸エプロンの方! |
水都 |
いいじゃないか、二人そろってペアルック。 |
加藤 |
よくねぇ! |
水都 |
後、奥さんが働いてる場合は、夫が裸エプロンで疲れを取ってやらなきゃな。 |
加藤 |
余計つかれるわ! |
水都 |
でもやっぱ、奥さんには家に残っててもらいたいよな。 |
加藤 |
さっき前時代的とか言ってなかった? |
水都 |
いや、やっぱり家事をしないと奥様って感じがしないじゃん。 |
加藤 |
まぁね。 |
水都 |
夫の帰りを待ってこそだろ。 三つ指突きながら。 |
加藤 |
どんどん時代が逆行してないか? |
水都 |
ちゃんとして欲しい訳よ。 炊事、洗濯、幼児虐待。 |
加藤 |
ちょっと待て! 最後のは家事じゃない! |
水都 |
幼児虐殺だっけ? |
加藤 |
だから違うっての! |
水都 |
て、言うか、子供はいると甘さが減るからいらねぇ。 |
加藤 |
子供が出来ると、幸せって言うじゃん。 |
水都 |
幸せと甘さは違う! 甘さって言うのは、バカ丸出しのリビドーのことだぞ! |
加藤 |
そんなもん求めんな! |
水都 |
実際、幸せなんて儚い物ですよ、一本抜いたら辛いって言う字になりますよ。 |
加藤 |
なに語りだしてんだよ。 |
水都 |
子供が出来たりしたら、家事に育児に大変で、二人の時間はごっそり無くなってる訳だ。 |
加藤 |
まぁ、よく聞く話だね。 |
水都 |
そして、やっと子供が自立したと思って、妻の顔を見れば、そこには年老いた老女が一人。 |
加藤 |
うわ、夢無いなぁ…。 |
水都 |
しょうがない、これも人生さ…。 |
加藤 |
しかも、お前も人生にくたびれてるし。 |
水都 |
よし、離婚して新しい奥様を探そう! |
加藤 |
って、ポジティブだし! でも方向間違ってるよ! |
水都 |
女房と畳は新しいほうがいいんだぞ! |
加藤 |
完璧に時代錯誤じゃねぇか! |
水都 |
17だけど結婚できる方法知りませんか? |
加藤 |
知るか! |
舞台暗転。 | |
幕が降りる。 |