出演… | 水都栄一(ミズトエイイチ) | 高校2年生。 純正オタク。 エネルギーは無駄にあるが、全てにおいて熱しやすく冷めやすい。 |
加藤清(カトウキヨシ) | 高校2年生。 むっつりオタク。 家族の前ではアニメを見ないタイプ。 |
幕が上がる。 | |
教室の風景。 | |
二人の生徒が掃除をしている。 | |
水都 |
神社に行こう! |
加藤 |
なんで? |
水都 |
巫女さんが見たい! |
加藤 |
今時いるのか? |
水都 |
この前いたぞ。 近くの神社に。 . |
加藤 |
え、嘘!? |
水都 |
白い着物に真っ赤な袴。 |
加藤 |
ほうほう |
水都 |
頭にロウソク付けて、藁人形と釘持ってたけどな。 |
加藤 |
それ、丑の刻参りじゃん! |
水都 |
いやぁ、精が出てたね、大変だな、巫女さんも。 |
加藤 |
だからそれは巫女さんじゃない! 呪ってるんだから止めろよ! |
水都 |
そういえば、次の日から田中が学校来なくなったんだよな。 胸が刺されるように痛くなったとか言って。 |
加藤 |
うわ、うちの生徒が呪われてるのかよ!? |
水都 |
胸の痛みとは、あいつも巫女さんに胸キュンか? |
加藤 |
いや、その人のせいだけど、絶対恋じゃないよ! |
水都 |
ってか、巫女さんのこと、みんな分かってないんだよな。 |
加藤 |
そんなに接する機会も無いし。 |
水都 |
そもそも、巫女さんとは神に仕えてるんだ。 |
加藤 |
それはみんな知ってるでしょ。 |
水都 |
いや、分かっていない! つまりは、その身は神のものであり、神の所有物なのさ! 要約して愛人! |
加藤 |
愛人って訳じゃないだろ。 |
水都 |
だから、巫女さんに手を出すときは、自動的に間男となるわけだな。 |
加藤 |
なんか、すっごくいやだな。 |
水都 |
不倫ぐらいでガタガタ抜かすな、小心者。 今時それぐらい男子校生のステータスだろ。 |
加藤 |
周りにいねぇよ、そんな奴! |
水都 |
これから俺達は、神様から愛人を掠め取るにはあきたらず、手篭めにしようとしてるんだぞ! |
加藤 |
んなこと考えてたのか!? ていうか俺を巻き込むなよ! |
水都 |
…ちょっと待て。 巫女さんが俺にベタ惚れなったら困るよな。 |
加藤 |
その仮定がまずおかしいけどな。 |
水都 |
信仰心の無い巫女さんなんて、偽者だし。 |
加藤 |
お前さっき、思いきり偽者で盛りあがってたじゃん。 |
水都 |
…分かったぞ、これは神の企みなんだ。 |
加藤 |
はぁ? |
水都 |
あいつは、より純粋な巫女を作るために、一度巫女さんを外界に降ろし、危険に曝しているんだ。 |
加藤 |
それは、今の自分が危険だって認めてるのか? |
水都 |
巫女さんの袴が情熱の赤なのも、本来は下着を着けないという、明らかに男性層を意識したしきたりがあるのも、全部俺達を挑発するためだ! |
加藤 |
だとしたら、見事に引っかかってるね…。 |
水都 |
そして、死ぬまで純潔を守りきった巫女さんを、存分に愛でようと言う計画なのだ。 |
加藤 |
死ぬときにはお年寄りじゃん。 |
水都 |
フケ専? |
加藤 |
程があるわ! |
水都 |
ならば!俺は断固として神と戦う! 巫女さんを奴の手になど渡すものか! |
加藤 |
無駄に話がでかくなってるし。 |
水都 |
よし、じゃぁ今すぐ出かけようか。 |
加藤 |
はぁ、何でだよ? |
水都 |
神の毒牙にかかる前に、俺達が彼女を救わなければならない。 |
加藤 |
だから、宗教関係者に怒られる発言は慎めよ。 |
水都 |
名づけて、全国巫女陵辱行脚の旅! |
加藤 |
って、お前のほうが有害じゃねぇかよ! |
水都 |
この旅に神のご加護がありますように。 |
加藤 |
絶対無ぇ! |
舞台暗転。 | |
幕が降りる。 |