混迷⇔エリスポット

出演… 水都栄一(ミズトエイイチ) 高校2年生。 純正オタク。 エネルギーは無駄にあるが、全てにおいて熱しやすく冷めやすい。
加藤清(カトウキヨシ) 高校2年生。 むっつりオタク。 家族の前ではアニメを見ないタイプ。

       


第7公演

巫女さん


  

 

幕が上がる。

 

教室の風景。

 

二人の生徒が掃除をしている。

 

水都

 

神社に行こう!

 

加藤

 

なんで?

 

水都

 

巫女さんが見たい!

 

加藤

 

今時いるのか?

 

水都

 

この前いたぞ。 近くの神社に。 .

 

加藤

 

え、嘘!?

 

水都

 

白い着物に真っ赤な袴。

 

加藤

 

ほうほう

 

水都

 

頭にロウソク付けて、藁人形と釘持ってたけどな。

 

加藤

 

それ、丑の刻参りじゃん!

 

水都

 

いやぁ、精が出てたね、大変だな、巫女さんも。

 

加藤

 

だからそれは巫女さんじゃない! 呪ってるんだから止めろよ!

 

水都

 

そういえば、次の日から田中が学校来なくなったんだよな。 胸が刺されるように痛くなったとか言って。

 

加藤

 

うわ、うちの生徒が呪われてるのかよ!?

 

水都

 

胸の痛みとは、あいつも巫女さんに胸キュンか?

 

加藤

 

いや、その人のせいだけど、絶対恋じゃないよ!

 

水都

 

ってか、巫女さんのこと、みんな分かってないんだよな。

 

加藤

 

そんなに接する機会も無いし。

 

水都

 

そもそも、巫女さんとは神に仕えてるんだ。

 

加藤

 

それはみんな知ってるでしょ。

 

水都

 

いや、分かっていない! つまりは、その身は神のものであり、神の所有物なのさ! 要約して愛人!

 

加藤

 

愛人って訳じゃないだろ。

 

水都

 

だから、巫女さんに手を出すときは、自動的に間男となるわけだな。

 

加藤

 

なんか、すっごくいやだな。

 

水都

 

不倫ぐらいでガタガタ抜かすな、小心者。 今時それぐらい男子校生のステータスだろ。

 

加藤

 

周りにいねぇよ、そんな奴!

 

水都

 

これから俺達は、神様から愛人を掠め取るにはあきたらず、手篭めにしようとしてるんだぞ!

 

加藤

 

んなこと考えてたのか!? ていうか俺を巻き込むなよ!

 

水都

 

…ちょっと待て。 巫女さんが俺にベタ惚れなったら困るよな。

 

加藤

 

その仮定がまずおかしいけどな。

 

水都

 

信仰心の無い巫女さんなんて、偽者だし。

 

加藤

 

お前さっき、思いきり偽者で盛りあがってたじゃん。

 

水都

 

…分かったぞ、これは神の企みなんだ。

 

加藤

 

はぁ?

 

水都

 

あいつは、より純粋な巫女を作るために、一度巫女さんを外界に降ろし、危険に曝しているんだ。

 

加藤

 

それは、今の自分が危険だって認めてるのか?

 

水都

 

巫女さんの袴が情熱の赤なのも、本来は下着を着けないという、明らかに男性層を意識したしきたりがあるのも、全部俺達を挑発するためだ!

 

加藤

 

だとしたら、見事に引っかかってるね…。

 

水都

 

そして、死ぬまで純潔を守りきった巫女さんを、存分に愛でようと言う計画なのだ。

 

加藤

 

死ぬときにはお年寄りじゃん。

 

水都

 

フケ専?

 

加藤

 

程があるわ!

 

水都

 

ならば!俺は断固として神と戦う! 巫女さんを奴の手になど渡すものか!

 

加藤

 

無駄に話がでかくなってるし。

 

水都

 

よし、じゃぁ今すぐ出かけようか。

 

加藤

 

はぁ、何でだよ?

 

水都

 

神の毒牙にかかる前に、俺達が彼女を救わなければならない。

 

加藤

 

だから、宗教関係者に怒られる発言は慎めよ。

 

水都

 

名づけて、全国巫女陵辱行脚の旅!

 

加藤

 

って、お前のほうが有害じゃねぇかよ!

 

水都

 

この旅に神のご加護がありますように。

 

加藤

 

絶対無ぇ!

 

舞台暗転。

 

幕が降りる。

   


戻る   TOPへ