混迷⇔エリスポット

出演… 水都栄一(ミズトエイイチ) 高校2年生。 純正オタク。 エネルギーは無駄にあるが、全てにおいて熱しやすく冷めやすい。
加藤清(カトウキヨシ) 高校2年生。 むっつりオタク。 家族の前ではアニメを見ないタイプ。

       


第6公演

ぶるまー


  

 

幕が上がる。

 

教室の風景。

 

二人の生徒が掃除をしている。

 

水都

 

はぁ、悲しいなぁ。

 

加藤

 

何が?

 

水都

 

ブルマーって廃止されたじゃん。

 

加藤

 

結構前にね。 

 

水都

 

こんな素敵な物を無くすなんて、国は何を考えているんだ。(懐からブルマーを取り出す)

 

加藤

 

そんなのも常備して、お前こそ何考えてるんだよ!

 

水都

 

素晴らしい文化が、また一つ失われていく。

 

加藤

 

大げさだろ、そんなもの一つで。

 

水都

 

大げさなものか! JROに訴えられる程だぞ!

 

加藤

 

やっぱり大げさなんじゃん! JROが動くんだろ!?

 

水都

 

とにかく大変なことが起きるんだ!

 

加藤

 

あ、強引に話そらしやがった。

 

水都

 

ブルマーを見ない世代が出てくるんだ!

 

加藤

 

はぁ?

 

水都

 

お前が不思議に思うのも、無理は無い。 ブルマーを永遠の萌えアイテムだと思う気持ちも、わかるからな。

 

加藤

 

いや、そうじゃなくてさ。

 

水都

 

しかし、そういう世代は、確実に出てくるんだ。 すでに世の中にはドラゴンボールを知らない世代がいるようにな。

 

加藤

 

それは、微妙にショックだけど…。

 

水都

 

ドラゴンボールを知らないでこち亀を知ってるってどういうことだ!?

 

加藤

 

まだ連載してるからね、アレは…。 てか、それの何処が大変なんだよ。

 

水都

 

困るだろ、エロトークする時に。 「ブルマー萌え〜」とかいっても、「ハァ?」ですよ。

 

加藤

 

むしろ俺が「ハァ?」と言いたい。

 

水都

 

ブルマーの臭いを嗅いだ中で生まれる友情だって、あるかもしれないのに!

 

加藤

 

無い! ってか、そんな友情いやだよ!

 

水都

 

ハーフパンツでどう萌えろって言うんだよ!

 

加藤

 

知るかよ!

 

水都

 

だが、確かに二次元では受け継がれていくだろう。 数々の職人の手によって。

 

加藤

 

職人ねぇ…。

 

水都

 

が、それではブルマーを知らない世代に間違った知識を与えてしまう。

 

加藤

 

そんなのあるの?

 

水都

 

あるさ、例えば…。

 

加藤

 

何だよ?

 

水都

 

ブルマーを頭に被るときは、下にパンツを被るという礼儀とか。

 

加藤

 

頭に被る時点で間違ってるだろ!

 

水都

 

男子生徒も着用してたと思ってげんなりしちゃったら、どうするんだ!

 

加藤

 

しないよ、そんな勘違い…。

 

水都

 

いや、今となっては特殊な店にしか売ってないし、男子が穿いてる数のほうが多いんじゃないか?

 

加藤

 

変なこと言うな、生々しいだろ!

 

水都

 

心配だ、ブルマーの未来が…。(ブルマーをまじまじと見る)

 

加藤

 

お前の未来は心配しなくていいのか?

 

水都

 

今度、こっそり女子のハーフパンツをブルマーにすりかえておこうか?

 

加藤

 

やめろ、犯罪だよ!

 

水都

 

女子全員ブルマーと、一人だけブルマーでおろおろしてるのと、どっちが良い眺めだと思う?

 

加藤

 

んなもん、どっちでもいいわ!

 

水都

 

ハーフパンツは、ちゃんとブルマーにリサイクルするから安心しろ。

 

加藤

 

そういう問題でもない!

 

水都

 

反政府運動っぽく、何万個ものハーフパンツを縫い合わせて巨大なブルマーを作ってみたりして。

 

加藤

 

何でだよ…。

 

水都

 

ハーフパンツ社会への嘲笑だな。

 

加藤

 

お前が嘲笑われるわ!

 

水都

 

ノーモアハーフパンツ!!

 

加藤

 

やかましい!

 

舞台暗転。

 

幕が降りる。

   


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