出演… | 水都栄一(ミズトエイイチ) | 高校2年生。 純正オタク。 エネルギーは無駄にあるが、全てにおいて熱しやすく冷めやすい。 |
加藤清(カトウキヨシ) | 高校2年生。 むっつりオタク。 家族の前ではアニメを見ないタイプ。 |
幕が上がる。 | |
教室の風景。 | |
二人の生徒が掃除をしている。 | |
水都 |
猫耳って好きか? |
加藤 |
なんだよ、急に。 |
水都 |
実はそろそろ第×次猫耳ブームが来る! てか、来てる!(ほうきを握り締めて息巻く) |
加藤 |
はぁ? |
水都 |
東京ミュウミュウ始め、猫耳っ娘は急増中だ! ちぃみみだって、ネコミミ属さ! |
加藤 |
厳密には違うと思うけど。(やる気の無いそぶりでごみをはく) |
水都 |
しかも今回、宮崎駿まで猫耳ネタを出してきやがった! |
加藤 |
猫の恩返しな、猫耳少女が出るね。 |
水都 |
あれが海外で賞取ったら、猫耳の人気はワールドワイドになるんだぞ! |
加藤 |
そうかぁ? |
水都 |
日本と言えば、サムライ、スキヤキ、ネコミミー!!になるわけだ! |
加藤 |
なるか!(振りかえってツッコミ) |
水都 |
それで有名デザイナーがパリコレで使って、日本に逆輸入。 街中の人が猫耳つけちゃったりしてな。 |
加藤 |
なんで社会現象になってんだよ! |
水都 |
そうだよ、日本人はブームに弱すぎるよ!(客席を指差しながら) |
加藤 |
お前の想像で日本人を叱るな! |
水都 |
(一拍おいて)でもあれだぜ、実際に猫耳が流行したら、大変なことになるぞ。 |
加藤 |
どんな? |
水都 |
まず、校則に引っかかるだろう? でも、そういうのってみんな守らないじゃん。 だから教師側も猫耳狩りを始める訳だ。 |
加藤 |
アホらしい…。 |
水都 |
生徒側も反抗する訳よ。「これは猫耳じゃありません、リボンです!」とか。 でも、尻尾つけてるからばれるの。 |
加藤 |
尻尾もあるのかよ! |
水都 |
そんな中、校長の髪が妙にふくらんでてさ。 実はカツラの下に猫耳つけてんの。 |
加藤 |
なんで校長がつけてんだ! |
水都 |
校長曰く、「カツラの下ならばれないと思って…」 |
加藤 |
両方見つかってるじゃん! |
水都 |
でも、生徒に「校長の猫耳可愛い〜」とか言われて、カツラが無いほうが人気出ちゃうの。 |
加藤 |
おっさんがつけてたら気持ち悪いよ! |
水都 |
猫耳世代が親になるともっと凄いぞ。 |
加藤 |
猫耳世代って…、まぁいいや、なんで? |
水都 |
だって、当然子供にも猫耳つけるじゃん。 |
加藤 |
当然なの? |
水都 |
普通の親は子供に対し赤ちゃん言葉を使うが、さらに当然、猫耳の親は猫言葉を使うからな。「にゃごー、ママですにゃー」とか。 |
加藤 |
おかしいだろ、そんな親! |
水都 |
地方によって「にょ」とか「にゅ」とか差は出るけどな。 |
加藤 |
それは地方の差じゃない! |
水都 |
そうすると、子供はそれを聞いて育つから自然と猫言葉しか話せなくなるんだな。むしろ語尾に「にゃ」とかつけないといじめにあう。 |
加藤 |
怖すぎるよ、そんな世の中! |
水都 |
帰国子女とかが日本語で話すと「おはよーみゅー」とかになるからすぐ分かる。(ポケットを漁り出す) |
加藤 |
アメリカだと猫の鳴き声が「みゅー」になるからか!? |
水都 |
かっこいいにゃー。(ポケットから猫耳を出し装着) |
加藤 |
もう染まってるのかよ! |
水都 |
我ながら明るい未来を予想してしまったにゃ。 |
加藤 |
明るいんじゃなくて馬鹿なんだよ! |
水都 |
そんな未来を待ってるにょ♪ |
加藤 |
うるさいわ! |
BGM『ウェルカム』 | |
舞台暗転。 | |
幕が降りる。 |